子供プログラミング教育 基礎ガイド!
子供のプログラミング教育が必要となってきている昨今、まずはプログラミング教育で知っておくべき基礎情報をお伝えします。
プログラミング教育は小中高大の学年によって、授業の必修化が決まっています。
小学生は2020年から。中学生は2021年から。高校生は2022年から。大学生は2022年から授業にプログラミングが入ってきます。小中は科目としてプログラミングというのが入ってくるわけではなく、他の授業でパソコンを使って問題解決をしたり、パソコンでプログラミングを行います。中高では国語や算数と言った科目と同じ扱いでプログラミングを行う「情報」が追加される形です。
高校、大学の場合はプログラミングだけに特化しているわけではないため科目としては「情報」という名前で扱われ、プログラミングの他にIT全般の基礎知識まで範囲に入ってきます。
IT全般の基礎知識とは?と言った部分、少し解説しますと、プログラミングというのはアプリケーションを動かす上位レイヤーの仕組みであり、プログラミングを動かすための土台が必要です。その土台、要はコンピューターの仕組みから、アプリケーションをさまざまな場所からアクセスできるようにするためのネットワーク。各データを格納するためのデータベースが必要となります。その、プログラミングを動かす基盤から接続部分のネットワーク、そしてアプリケーション(プログラミング)を範囲とするため「情報」という位置づけで必修化されています。
大学では2024年から「情報」は必修化され、大学入試の範囲にもなってきます。そのため、子供の時からプログラミングに触れさせておく、ということが重要になってきます。最初から難しいことを経験させるのではなく、まずは楽しんでもらう。こういった世界もあるんだ、ぐらいの認識をしてもらえるように親がサポートしてあげるのはとても意味のあることとなってきます。
子供向けの教材も増え、昔のようなプログラミングのイメージではなく、マウスでドラッグ&ドロップを使ってブロックをつなぎ合わせるビジュアルプログラミング言語と言われる、簡単かつ楽しんで学べる教材が増えています。
プログラミング教育は、指導要綱が割と自由であり、教員からするとどんな教材を使うのが良いのかとても悩むポイントとなっています。そのため、文科省では各小学校、中学校で実際に実施した授業内容をホームページで公開しています。
プログラミング教育の子供へのメリット
プログラミングを経験する中で、大きな収穫となるのは「問題解決力」でしょう。
プログラミングを最初にやってみると、わからないことだらけです。ですが、自分で考えた動きをプログラミングで実現しようと目標に向かう中で、たくさんの失敗を経験します。やってみる→できない→調べる→修正する→できようになった!この繰り返しを短時間で経験することで、プログラミングという狭い世界だけでなく、日々の生活を送るうえでも活かせる大きな力になります。
日々の生活でもやったことのないことをやらないといけないシチュエーションは多々あると思います。そういった初めてのことに対する障壁を低くし、失敗しても次どうやればうまくいくかを考える。この考える力を育むことがプログラミング教育のメリットと言えるでしょう。
受験や就職への影響は?
プログラミングの勉強をすることで、受験の基礎勉強にはなりますし、就職への良い影響もあるでしょう。ただし、小中で学ぶプログラミングはあくまでもプログラミングの初期段階。プログラミングができる=受験で良い点数が取れる、とはなりません。受験でそのままプログラミングの内容はでてこないからです。受験問題は、IT知識全般を問われるため、プログラミングは初期段階の知識としては使えるものの、受験の対策としては別途勉強が必要と言えるでしょう。
プログラミングが得意!と一回自覚した状態であれば、受験勉強も苦ではなくなり、メリットにもなります。
就職を考えても、同様です。「プログラミング 就職」と考えるとIT系のイメージを持つのが一般的だと思いますが、プログラミング教育の目的はIT企業へ就職することではありません。
文科省の授業要綱にも記載がありますが、目的は「問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくこと」です。
そのためまず私たちは「プログラミング教育 ≠ IT」ではないことを認識する必要があります。
という前置きは置いておき、仮にプログラミング=ITと考え、就職でプログラマーを目指すことを考えるとどうなるか。
これも受験の話しと同様に、小中で学ぶのはプログラミングのさわりの部分のみ。どれだけScrachで高度なプログラミングが書けても、マイクラで立派な建物が建てられても、それはさわりの部分にしかすぎません。実際にIT業界で使われているような、Java、C#、Python等の言語を使えるようになる必要があります。これは視覚的にはコードであるため、Scrachのようにパズルを組み合わせるような視覚的な楽しさはありません。
ただ、小中で培われる論理的思考、またプログラミングで実行される繰り返し文や条件判定等のプログラミングの基礎知識は、どんなに難しい言語でも応用することができます。
そのため、さわりの部分を学ぶことはどの分野に対しても広く浅く応用の効くものであるということと、反対に受験や就職を考えた場合は、それに見合った知識を別途習得していく必要がある、ということです。
プログラミング教育への教育機関の取り組み状況、学校で行われたプログラミング授業の内容事例
2020年から小学校で、2021年から中学校でプログラミングの授業が開始しています。実際に、プログラミングの授業が行われ、反省点なども見えてきている状況です。
プログラミングの授業が取り組まれた最初の年、つまり2020年は、いきなり教育機関の教員に内容を決めさせるのではなく、企業が協力をして授業内容を作りました。
協力企業は有名企業が多く、AppleやGoogleもプログラミング教育の内容を考え、実際に授業を実施しています。授業内容と企業名は以下の通り。
授業内容 | 企業名 |
---|---|
人と人をつなぎ、笑顔がいっぱいえだきん商店会 | Apple Japan, Inc |
e・URK(浦賀歴史活性化)プロジェクト | 株式会社 NTT ドコモ |
AI×スクラッチで、どんなことができるかな | グーグル合同会社 |
私たちの生活を豊かにする未来の宅配便 | 佐川急便株式会社 |
みんなの家!未来の家! | 積水ハウス株式会社 |
高島学教えたいな・知りたいな | Twitter Japan 株式会社 |
「とべまちアプリ*」で戸部のまちを盛り上げよう! | 株式会社ディー・エヌ・エー |
自動車に搭載された技術と私たちの生活 | トヨタ自動車株式会社 |
自動車に搭載された技術と私たちの生活を便利にするプログラム | 日産自動車株式会社 |
自動車に搭載された技術と私たちの生活 | ひろしま自動車産学官連携推進会議 |
自動車に搭載された技術と私たちの生活を便利にするプログラム | 本田技研工業株式会社 |
私たちの生活を支える郵便局の仕事 | 日本郵便株式会社 |
実際に行われた内容事例をいくつか紹介します。
Apple Japan, Inc
「人と人をつなぎ、笑顔がいっぱいえだきん商店会」というタイトルの授業を展開。
対象は小学5年生。
教材はSwift Playgrounds。
授業の目標
子どもたちがえだきん商店会の魅力を明らかにするために、店や店主の方々、まちで暮らす方々に繰り
返し取材を行うことで、商店会の自然の豊かさや店ごとの工夫や仕事に対する思いに気づき、新たな観
光資源を発掘するとともに、まちの活性化を目指して様々な取り組みを行っている方々の思いを深く感じ取ることができると考えている。
さらに、地域振興に取り組んでいる自治体の職員に、何をどんな言葉で、どんな手法で伝えたら良いの
かなど内容面について学んだり、自分たちの考えを実現するための技術やプログラミングの考え方や方法を外部の人材から学ぶ機会を設けることで、プロの技や考え方に触れ、憧れが生まれたり、実感を伴った理解がなされたりして、より課題解決により熱が帯びることも考えられる。
これらの活動を通して、地域が抱える課題にしっかりと向き合い、まちの活性化を目指して有効な表現方法を考え、このまちの一員として貢献できる方法を本気で考え続ける子どもたちが育つことを期待している。
具体的な活動内容
1.私たちが、えだきん商店会のためにできることはどんなことだろうか?
- 5 年生の総合を通して、どんな自分たちになりたいか話し合い、えだきん商店会のために自分たちにできることを見つけるために、国語科でのインタビューを振り返る。
- えだきん商店会の魅力的なところと、現在抱えている課題と解決策を話し合う。
2.えだきん商店会にあるお店に、どんな工夫を加えれば、さらに魅力的になり、たくさんの人が遊びに来てくれるだろうか?
- 店に関心をもってもらいたい相手を明確にし、現在ある魅力を洗い出す。
- 現在の魅力を引き立たせる+α を考える。
- 取材と構築を繰り返し、店をより魅力的にする価値を生み出す。
- 再発見したり、生み出したりした魅力を伝える方法を考える。
3.美里町(熊本県)は Web ページやアプリケーションを使ってどんなことを伝えているのだろうか?
- 美里町の Web ページやアプリケーションを観察して、どんなつくりや内容になっているか調べる。
- 美里町役場の方から内容構成の意図を取材する。
- 美里町の Web ページやアプリケーションの良いところを整理・分析する。
- アプリケーションで発信する自分たちのまちの魅力や 1 ページのレイアウトを考える。
4.Web ページやアプリケーションはどのようにつくられているのだろうか?
- Web ページやアプリケーションについて、インターネットや図書館資料で調べる。
- Web ページやアプリケーションをつくる上で必要になる考え方を学ぶためにプログラミングの体験をする。
- Apple Store でアプリケーション開発の流れを学び、プロトタイプをつくる。
プログラミング体験
Web ページやアプリケーションを作るためにプログラミングが必要と分かり、自分たちの思い描いた
Web ページやアプリケーションをつくるために必要な考え方を学ぶための活動として、Swift
Playgrounds を使ってプログラミングの体験を行う。
企業訪問
Apple Store を訪問して検討してきたアイデアを説明する。アプリケーションのプロトタイプの作り方
について、その進め方も含めて教えていただく。
これまでの別の学習でも情報を整理・分析してまとめる活動をしてきたが、アプリケーション開発で
も、活動の手順や考え方が似ていることに気づく。
美里町役場の方から学んだことと、Apple Store で学んだことを合わせて Web ページやアプリケー
ションをつくりたい。新たな手段の特徴を生かせるように、改めてえだきん商店会へ取材に行きたい。
5.えだきん商店会にたくさんの人が来てくれるような Web ページやアプリケーションをつくろう!
- 全体の構成や 1 ページのレイアウトにそって、再取材する。
- 再収集した情報を使い、Web ページやアプリケーションのプロトタイプをつくる。
教えていただいたことをベースに、取材した情報を再構成してプロトタイプを開発する。
プロトタイピングしている中で、情報が更に必要になった場合は、またまちに出て素材集めに行く。
作った Web ページやアプリケーションは、商店会に人を呼ぶようなものになっているのだろうか。想定する利用者に使ってもらって反応を確認したい。
6.自分たちのつくった Web ページやアプリケーションは、えだきん商店会にたくさんの人がきてくれるようなものになっているだろうか?
- えだきん商店会の店主や利用客、まちに暮らす人たち、遠方に暮らす方々に Web ページを見てもらったり、アプリケーションを使ってもらったりして感想を集める。
- 感想をもとに、アプリケーションの構成や内容を見直し、改善する。
商店会の店主の方々に確認することで、不本意なことが書かれていないか確かめられてよかったね。
まちの人からは、どのボタンがどんな意味をもっているか分かりづらいという感想が聞けて良かった。直してより分かりやすくしよう。この商店会を知っている私たちと遠くに暮らす人たちでは、同じ情報でも捉え方が違ったね。相手意識をしっかりもって改善していこう。
7.この Web ページやアプリケーションをどのように知ってもらい、使ってもらったら効果的だろうか?
- Web ページやアプリケーションを使ってもらうターゲットを振り返り、どのように広げていくか話し合う。
- えだきんアプリケーションウォーク(仮)の計画を立てる。
- えだきんアプリケーションウォークのリハーサルをする。
学校のオープンデーで、家族や地域の方に使ってもらって、広めてもらおうよ。使った一人ひとりがこのWeb ページやアプリケーションの良さを他の人に伝えられるように、アプリケーションの使い方を案内しながら回れるといいかもね。
8.えだきんアプリケーションウォークでえだきん商店会の魅力を存分に味わってもらおう!
- えだきんアプリケーションウォークを運営する。
- アプリケーションの使用者に感想をかいてもらい、えだきんアプリケーションウォークを振り返る。
- アンケートや利用者数の調査を定期的に行い、効果を検証する。
- 活動全体を振り返る。
地域の方に喜んでもらえただけでなく、自分たちがもっとえだきん商店会を好きになった。
アプリケーションを使うことで、これまで紙などを使った表現ではできなかったことができた。
これからもまちの一員として、地域を盛り上げていこう!
授業の様子




グーグル合同会社
「AI×スクラッチで、どんなことができるかな」というタイトルの授業を展開。
対象は小学5年生。
教材はScratch、AIブロック
環境は自動1名でCheromebook1台を利用。
授業の目標
AI に画像認識をさせ、Scratch のプログラミングを体験し、人工知能(AI)が実際に世の中で活用
されている事例を見たり、簡単な AI の機能に触れてみたりすることで、これまでの情報技術とはどう違うのか、どのようなことが可能になったのかを理解する。また学校や地域、自宅を対象として AI で解決できそうな課題を見付け、身の回りの課題を AI で解決する実践を行う。このように情報技術を活用しながら実践する力を育成し、AI やプログラミングを慣れ親しみながら体験し、現在や将来の生活でどのように活かすことができるか考えようとする。
具体的な活動内容
1.画像認識を体験して、日常生活に生かすことを考える
- AI に画像認識のトレーニングをさせて、どのようなことができるか理解する
- 日常生活に生かす方法を考えることを課題に設定する
2.Scratch で、画像認識したものに言葉を付けるプログラミングをする
- Google 提供の動画等を利用して、AI が学習して画像を判断していることを押さえる
- 画像認識のトレーニングを体験する
- Scratch のプログラミングを体験する
3.AI に色々なものを画像認識させ、言葉をつけるプログラミングをすることでどのようなことに活用できるか考える
- 自分で持ってきたものを画像認識でトレーニングして、Scratch のプログラミングをする
4.AI に多くのものを画像認識させ、言葉を付けるプログラミングをする
- 5〜10 個程度のものを AI トレーニングさせる
- どのようにトレーニングさせると上手くいくかも検討する(いろいろな角度から撮影したほう
- が認識がされやすい、枚数を多く撮ることが大切)
- AI トレーニングしたものに言葉を付けるプログラミングをする
5.Scratch の音声合成を用いて、AI を生活の中にどのように生かすことができるか考える
- Scratch で音声合成ができることを知る
- どのようなことを音声で言わせたら生活の中で有効か話し合う
- 音声合成を自分のプログラムに加える
6.Scratch のリストを用いてプログラミングの仕方を学び、AI を生活の中にどのように生かすことができるか考える
- リストのプログラミングの仕方を知る
- リストを使うことで効率的なプログラミングができることを理解する
- 画像認識のトレーニングをして、リストを用いてプログラミングする
7.AI を生活の中にどのように生かすことができるか考える
- どのようなプログラミングをすれば生活に役立つか
- 考えたプログラムに必要な AI トレーニングをする
- 作ったものを発表して、考えやプログラミングのよさ、誰にどのように役立つかについて意見交流する
授業の様子



Twitter Japan 株式会社
「高島学教えたいな・知りたいな 」というタイトルの授業を展開。
対象は小学4,5,6年生。
教材はPrograChat(Twitter でのツイートをビジュアル言語で作成できるアプリ)。
環境はパソコン・ウェブブラウザ(Window10, Chrome ブラウザを利用)。
児童 1 名でパソコン 1 台を利用
授業の目標
単元の目標は高島のよさやがんばりについて理解することができ、地域の方や専門家へのインタビュー、アンケート、IC 利活用など情報収集の方法を知ること。
具体的な活動内容
1.知る(課題設定):高島のことを知り、その良さやがんばりを未来につなげていこう
- 島を探検しながら調べる
- 知っていることを紹介する(島外から通う児童もいる)
- 知っていることを整理する
自分たちが知らないことがあるかもしれない
高島のことを島の人たちに聞いて、さらに詳しく知ろう
2.調べる(情報収集 1):高島のよさやがんばりを調べる
- 地域の方へアンケートで取り組みについて聞く
→「島おこし」のために、新たに行っている取り組みがある
→漁業が盛ん
興味をもった活動について、体験をしてより深く理解したい
「島おこし」活動が行われている
3.体験する(情報収集2):高島のよさやがんばりを体験する
- 漁業体験(水産振興課の方による講話、稚魚の放流、わかめ栽培、魚釣り、ウニとり、浜清掃)
- ローゼル(ローゼル生産者による講話、ローゼルの収穫、ローゼル茶作り、ローゼル茶のふるまい)
- 養蜂見学(蜂蜜採取の見学、蜂蜜づくりの見学、蜂蜜や蜜蝋の試食)
高島のよいところをもっとたくさんの人に知ってほしい。発信していこう
4.伝える(情報の整理分析、まとめ・表現):高島のよさやがんばりをまとめ、発表する
- チームに分かれて詳しく調べよう(ローゼル・はちみつ)
- それぞれ情報を整理分析して発表に向けて準備する
- 美と健康体験ツアー in 唐津での発表 (課外時間)
- 高島区文化祭での発表
島外へも情報発信していきたい。インターネットを使えばできることがわかった。
先生と相談して高島小学校として先生が Twitter を使って発信していくことにした
プログラミング体験
- Twitter ボットを活用した情報発信(本時)
→ツイートするための情報整理
→プログラチャットの効果的な使い方
→プログラミングでツイートのためのロジックを作成
→先生の確認のもとで、情報発信を行う
5.考える(情報の整理分析、まとめ・表現):高島のよさやがんばりを未来につなげる方法を考える
- 自分たちも「島おこし」に関わって貢献(はちみつやローゼルを売るために何ができる)
- 自分たちも高島のよさを想像する(ホーリーバジル栽培、観光ロボットの提案)
- 高島のよさやがんばりを広める(Twitter ボットのさらなる活用)
6.行動する(行動・発信):高島のよさやがんばりを未来につなげる
- 島おこしに関わる(はちみつとローゼル茶のラベルを企業に提案)
- 自分たちも高島のよさをつなげる(ホーリーバジル茶作り、観光ロボットの提案)
- 高島のよさやがんばりを発信する(Twitter ボットをより多くの人に見てもらう)
自分たち自身で地域活性化に関わることができ、自分たちの故郷・学びの地である高島の
将来について当事者意識をもって考えていこうとする
授業の様子





トヨタ自動車株式会社
「自動車に搭載された技術と私たちの生活」というタイトルの授業を展開。
対象は小学5年生。
教材はIchigoJam、自動車型ロボット。
環境はWindows 10、児童2人に 1 台。
授業の内容
1次においては、社会科と関連して、自動車の最先端の情報技術について学習する。
2 次においては、1 次で探求した新しい自動車について、「プログラムで命令できれば、同じ原理の車のをつくることができるのではないか」ということに気づき、「自分がつくってみたい自動車」を課題として設定する。
3 次では、自動車の進化やその周辺技術によって、私たちの生活がどのように変わっていくのかを課題に設定し、情報の収集を行う中で、「生活を助けてくれるもの」など、視点をより広げ、コンピュータと身近な生活での関わりや、人の手でしかつくれないものについてまとめていく。
具体的な活動内容
1.自動車技術の進化と私達の生活
- 社会科の学習と関連させ、自動車の最新技術について興味を持ち課題設定とする。
- 運転手の不注意による自動車事故(コンビニに突っ込んだり、高速道路を逆走したり)も調査する。
もっと調べるために、自動車会社の方に話を聞きたい。
- マツダの自動車工場を訪問し、会社としてどのような課題をもって自動車を開発しているのか。これからの自動車はどのようになっていくのかなどを教えていただく。
- 様々な場面においてプログラミングが活用されていることを知る。
- 情報収集したことを整理し、クラス内で発表する。
様々な技術によって、安心安全な自動車の運転が提供されていて、それがプログラミングによってつくられている。
2.安心安全のために自動車はどのように作られているのか詳しく調べよう
- 安心安全のために技術を使っており、そのために重要なのがプログラミングという話を聞いたので、プログラミングによって自分たちでも安心安全な自動車を作って体験してみる。
- 衝突回避を例にして、どのような仕組みで作られているか考える。
- プログラミング体験で実現する。
技術を使って安心安全な自動車を作ることの意味を深く理解する
3.これからの私たちの生活と自動車の進化にいついて調べよう
- 現状の課題(自動車事故等)に対して、いろんな技術で解決していこうとしていることがわかった。
- これからの私たちの生活はどのようになっていくのだろうか、もしくは私たちはどのように貢献していくことができるのだろうかを課題設定し、探究的に学習をすすめる
自動車技術の進化で私たちはより安全で便利な生活がおくれるようになる
自動化が進むことで、自動車のあり方が変わっていくかもしれない
授業の様子




今から家庭でできることは?
お子様の年齢によって家庭でできることは異なります。
未就学児3歳~5歳であれば、プログラミング教育というよりはパズルで遊んでみたり、iPadに触れさせてみたりすることで、興味を持たせることが重要です。
iPadでYoutubeを見せている人も多いと思います。
Youtubeは動画を見るという動作、すなわちインプットをするものです。
プログラミングの場合、アウトプットをすることが重要になってくるため、Youtubeではなくパズルのアプリやプログラミングに近いアプリで「自分で考え、解決し、クリアする」という要素が含まれる遊びをすることで問題解決能力を向上させることができます。
自分で考える、そして失敗する。この失敗によってつまらない、と感じたり、悔しさを感じる。これを乗り越える経験がとても大切です。
プログラミングはプロでも失敗をします。動くまで失敗を繰り返します。動いたと思っても、動作試験でバグが見つかる時も多々あります。作っているのは人間なので失敗はします。どんなにすごいプログラマーでも失敗をするので、作ったものに対してはデバッグを行い、構文の誤りがないか、目的通りの動作をしてくれるかを1つずつ確認をしていくのです。
「失敗する→乗り越える→失敗する→乗り越える」これの繰り返し。
この乗り越える経験こそが問題解決能力だと言えるでしょう。
子供用パソコンの選び方は?選び方のポイントを徹底解説!
実際の授業内容を見てみると、ノートパソコンやiPadを利用するケースが多く見られます。
Googleが実施した授業ですと、やはりCheromebookを生徒1人に1台用意して授業を実施していました。詳しいスペックについては表記がありませんでしたが、そこまで高価なものを用意していることはなく、一般的なスペックのパソコンを用意していました。
では一般的なスペックって?というところですが、パソコン選びのポイントは以下の通り。
- ノートパソコン/タブレット
- OS
- CPU
- メモリ
- ハードディスク
この項目について解説していきます。
ノートパソコン?タブレット?
物理的にボタンがあるないでの違いがあります。ノートパソコンでは物理的なボタンがありますが、タブレットでは物理的なボタンが無い場合がほとんどです。
プログラミングの中で、「キー〇〇が押されたら・・・」のような指示をしようとした場合に、タブレットだとうまく動かないことがあります。
そのためおすすめはノートパソコンです。
タブレットはノートパソコンより軽いというメリットもありますが、プログラミングをする場合はやはりノートパソコンを買う方がよいでしょう。
まったくタブレットはダメかと聞かれると答えはNOです。プログラミングの初期段階として、iPhoneのアプリを利用するくらいであればタブレットでも問題はないでしょう。今やAppStoreにもプログラミングができるアプリがたくさんありますので、できる範囲は徐々に広がっているように感じます。
OSは?
OSとは、WindowsやMacOSやAndroidのように、起動した時に立ち上がってくるシステムのことを指します。iPhoneをお使いの方はiOSという名前ですよね。
子供用にプログラミングをすることが目的であれば、おススメはWindowsです。
実際にWindowsパソコンを1つ持っておけばプログラミングをする上で困ることはあまりないでしょう。しいて言えば、iPhoneで動作するゲームを作ろうとした際に困るというのがあげられます。
iPhoneのゲームを作ろうと思った場合は、MacOSが必要です。
OSによって完全にできないこと、というのが出てきてしまうため、購入前に何をしたいのかを確認した上で購入するのをおススメします。
また、OSによって得意不得意があります。それは元々作られたアプリが1つのOSで、そこから開発が進んで複数のOSに対応したという経緯があったりします。そのため、処理を比較するとあっちのOSだとすごく早くて、そっちのOSだと若干遅い、という感じで差が出てくることもあります。
たとえばスクラッチを学びたい場合は、「スクラッチ 要件」で検索をかければ、OSの要件が細かくでてきます。Windows 10のみ対応、やWindows11も対応等を確認してから購入するようにしましょう。
OS別できることできないこと
OS別で表にまとめてみました。
ノートパソコン/タブレット | OS | スクラッチ | マインクラフト | LEGO (Scratch) | QUREO | KOOV | ビスケット | Unity | Python |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ノート | Windows | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ノート | Mac | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ノート | GoogleOS (Chromebook) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | △ | 〇 |
タブレット | Android | 〇 | × | 〇 | △ | 〇 | 〇 | × | × |
タブレット | iOS (iPhone/iPad) | 〇 | × | 〇 | △ | △ (iPadのみ) | 〇 | × | 〇 |
CPUは?
プログラミングを行うために必要なスペックはプロセッサ64bitであること。x64と表記がされていることがほとんどです。
ヘルツ数は2.1GHz以上のものを選びましょう。core i3、i5、i7と表記があるはずです。i7が一番良いと考えて良いでしょう。i7だとパソコンの価格も高くなります。
今売られているほとんどのcore i3でも2.1GHz以上となっているので、i3でも問題はありません。
メモリは?
プログラミングを行うために必要なスペックはメモリ4GBもあれば十分と言えるでしょう。
メモリ2GBでもプログラミングは可能です。ただ、Unityのような3D画像の処理を行おうと思うと動作が重くなったり、保存に失敗したりする可能性があるので3D画像を扱おうと考えている方はメモリを潤沢に良いしておいた方が良いかもしれません。多くても8GBあれば十分です。こちらもスペックを上げればあげる程価格が高くなるので、何をしたいのかによってメモリも決めていきましょう。
ハードディスクは?
OS部分だけであれば128GBもあれば十分です。
この頃のハードディスクは1TBとかついているものもありますが、ハードディスクの価格が下がっているためです。普通に売られている最低スペックのハードディスクで問題ありません。
1年生から6年生までびっちり使ったとしても、500GBも使わないでしょう。
プログラミング教育の課題
授業内容が決まっていない
まだまだ始まったばかりのプログラミング教育。
政府から具体的にこれをやりなさいといった内容が決まっていない状況です。
方針はでているものの教材が固定化されておらず、先端の教員達に内容の決定権が委ねられているため、学校によって実施する教育内容が異なることが課題の1つと言えるでしょう。
前述したとおり、最初から教員に委ねたわけではなく、まずはIT大手企業の力を借り、授業内容を考えてもらうという取り組みをしました。
プログラミング教育への教育機関の取り組み状況、学校で行われたプログラミング授業の内容事例
ただ、この次からは教員がどんな授業をするのかを考える番。生徒1人に端末を支給するには多くの予算が必要です。教材を利用するにも予算が必要です。
内容も決めなければならない、予算も考慮しなければならないといったように、教員の悩みは尽きません。
教員がプログラミングの知識を持っていない
教員がプログラミングの知識を持っていないことも課題として挙げられています。
実際7割以上の教員がプログラミング教育に対し不安を抱えているという結果も報じられています。
新たに出てきた科目のため、誰も学んできていないものを教えるわけですから、不安に思うのは当たり前です。今から勉強をしてすぐに生徒に教えるということをしなければなりません。そのために時間をかけて勉強をしなけばいけませんし、授業用のスライドも作成しなければなりません。
新しいことをしようとする際の時間と労力がかかることも課題となっています。
プログラミング教育として必修化される科目の内容とは?
小学校のプログラミング教育
小学校では「プログラミング」という教科が新たに新設されるわけではなく、プログラミング的思考を伸ばすことが目的として掲げられています。さまざまな場面、例えば授業でパソコンを利用したり、問題解決のためにパソコンを利用したりすることを目的にしています。
その中で、具体的にプログラミングを実施する場面もあり、その際にはビジュアルプログラミングと言われる視覚的に簡単にマウスのドラッグ&ドロップでプログラミングができる「Scratch」や「マインクラフト」「LEGO」等の教材を利用します。
こうした教材から、プログラミング的思考を養い、問題解決の順序を理解していくことが小学校のプログラミング教育の目的となります。
中学校のプログラミング教育
中学で行われるプログラミング教育の骨子として「プログラミング的思考(論理的思考力)」を伸ばすことが挙げられています。小学校でも同じ目的でしたが、もう少し踏み込んだ内容となります。
使用する教材は、パソコンのほか、小型コンピューターであるRaspberry PiにセンサやLEDランプを接続してデータのやり取りを行う授業をするところもあります。
Raspberry Piの操作にはもちろん、プログラミングを利用します。プログラムを作成する過程は、命令を文字で打ち込むことで機器を動かします。その際に、小学校で習ったビジュアルプログラミング言語の基礎が役に立ちます。
ビジュアルプログラミング言語でやれることを理解し、その組み合わせ方を学べば、後はそれをプログラムに書けば良いだけです。ビジュアルで簡素化されていた部分を命令にするための構文を知る必要はありますが、目的とできることがビジュアルプログラミングで既に理解できているため、飲み込みがとても速い状況で中学のプログラミングを進めることが可能です。
また、パソコンだけでなく、LANやUSBなどの周辺機器に関する知識を学ぶ、幅広い授業内容を実施するところが多くなります。
高校のプログラミング教育
高校ではプログラミングを学ぶというよりは、IT全般の知識を学習します。
プログラミングは基礎であり、その基盤となるパソコンの仕組みやネットワークやデータサイエンスまで幅広いIT知識を学びます。
今までの共通教科「情報」の必修科目である「社会と情報」「情報の科学」が統合されて「情報I」となります。さらに発展した内容を「情報Ⅱ」として新設され、その科目の中でプログラミング教育が実施されます。
「情報I」「情報Ⅱ」では、情報通信、データ処理、情報システムなど幅広い内容を学習します。
さらに、ビッグデータのような統計情報を含むデータの処理や分析、数学や物理、化学など教科と連携した学習も行われることが計画されています。
さらに、クラウドサービスやスマートフォンで使われるプログラミングを扱うなど、総合的かつより実用的なプログラミング教育が行われることも期待されています。
大学のプログラミング教育
2025年1月に実施する大学入学共通テストの教科、科目の中で「プログラミングや、データサイエンスに必要な統計処理、情報リテラシーの知識などを試す「情報」」を導入し、国語や数学などと並ぶ基礎教科とする」ことが発表されました。
プログラミングは、国語や算数と並ぶ教科の位置づけとなり、「情報」という科目が、入試科目となります。
大学入試センターから、試作問題集(サンプル問題)が発表されており、今まで実施されていた資格「ITパスポート」や「情報処理技術者試験」の内容に近しいものになっていることがわかります。